推し活に夢中な妻には逆らうな
あなたは私と同じで推しに負けたのだ。
推しには一生勝てるわけがない。完全敗北。
「そうか、この人のことが好きなのか、うんうん」と表向きは笑顔で、心では泣いている。これでいいよ。
そして、推しに寄り添ってみる。興味を持つことで、夫婦関係は悪くはならない。
「良くなる」とは言えない。推しに寄り添ったところで、夫婦関係が良くなるなんて、簡単なっことではないからね。
しかし、悪くはならない。妻の機嫌が良ければ、平和を保てるだろう。そういうことだ。
「今日、押しがテレビにでるね」「新曲いいね」とかなんでもいいから、押しを持ち上げることから始まる。
いつも推しに対して冷たい態度を見せていた人は注意。急に持ち上げると怪しまれるので、小さく刻みながら話題に出してみよう。今日からいきなり「推しの曲買ったさ、いいよね」なんて言ったものなら、「は?・・・・・・」時間が止まることになる。これは避けたい。逆効果だ。
相談を受けて、上記のアドバイスをしたら、友人がやらかした実話になる。笑ってしまった。
妻の機嫌を取るようなことは、何かをやらかしたとみなされて怪しまれる恐れがある。
だから自然と、ゆっくり進めなければならない。
私も現実を受け止めるまで時間がかかった。そしてまだ、反発したくなる。
これは一生続くかもしれないと、覚悟した。
毎日うちわに挨拶をする姿を見るのが日常で、現実。
イライラすることもあるし、妻にぶつけることもあった。
そんなこと思っているなら、「あなたも推しを作ればいい」が模範解答になる。
じゃあ、妻を推そう。直接推すと気持ち悪がられるから、妻の推しに寄り添うことにした。
そこで、「推し活の世界ってどうなっているんだ」と疑問に思ったことで、『推し、燃ゆ』に出会った。
本の内容と現実が重なる、妻を見ていると主人公かよと突っ込むところもあるし、推し活の世界がよく分かる。
単行本で125ページで、あっというまに読めてしまうのでおすすめ。
文庫もあります。
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宇佐見りん 著 『推し、燃ゆ』
「推し活妻」がいる、あなたに読んでもらいたい。
高校生ではないにしろ、推し活の世界が分かる。
『推し、燃ゆ』は、2020年に芥川賞を受賞。
主人公のあかりは、高校にうまくなじめず、家庭にもなじめず、どこにも居場所がない女の子。そんな彼女の心の支えは、アイドルの「上野真幸」を“推す”こと。
ただのファン活動にとどまらず、彼の一挙手一投足に自分の生きる意味を見出しているあかりにとって、推しの“炎上”は、まるで自分が崩れていくような出来事でした。
それは、「人が何かに依存して生きようとする姿」をリアルに、鋭く描いたドキュメントです。
あかりの語り口は、どこか不安定で、言葉が途切れたり、感情がうまく整理できていなかったりします。
家族とうまく話せない、自分の気持ちもわからない。
不安定な自分を推しという「確かな存在」に重ねるしかなかった。
「推し」は救いなのか?
あかりにとって「推し」は、生きる理由であり、支えであり、拠り所。
だからこそ、推しの一挙一動が彼女の心を大きく揺らす。
この作品は、「推し活って素敵だよね」というポジティブな話ではありません。
むしろ、推しに人生を賭けることの危うさと、その裏にある切実な感情に真正面から向き合っています。
何かに本気で夢中になったことがある人、誰かを信じることでしか生きられなかった瞬間がある人には、刺さるはずだ。
あかりの不安や焦りや熱が伝わってきて、ページをめくる手が止まらなくなります。
短いながらも密度の高い文体で、あっという間に読める一冊。
でも読み終えたあとには、言葉にならないもやもやが、しばらく心に残ります。
「同じだ、妻と同じ」と感じることでしょう。
「熱中できる何か」を持っている人
『推し、燃ゆ』は、何かに依存してしまった人、何かを信じていたいと思っている人たちの世界を知ることができる1冊だ。
好きとか嫌いとか、共感できるとかできないとか、そういう枠を超えて、人間の内側にある「何かにすがりたい欲望」を浮き彫りにしてくれる。
「私はここまでハマってないから大丈夫」と思っている人には分からない世界かもしれない。実際に私がそうだから。
でも、推し活中のパートナーがいる方は、1度読んでみることをお勧めする。
きっと、自分の中にも“あかり”のような部分があると気づくはずです。
年齢とか性別なんて関係ない。そこに推しがいれば世界がある。
これだけ熱中できる人を見ると、羨ましく思うよ。
単行本になります。
文庫本になります。